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急増する遺言書の作成

 急増中です。
 

「争族」の急増

 「遺言書」と聞いたとき、皆さんはどう感じるでしょうか。「後ろ向き」なイメージを持たれるのではないでしょうか。また、「後ろ向き」なイメージを持たなくても、「遺言書は死ぬ間際に書くものだから私には関係がない」と思われる人も多いのではないでしょうか。「遺言書」は「遺書」と言葉が似ているため、どうしても誤解されることが多いようです。ただし、確実に遺言書は身近なものになってきています。
 公正証書により作成された遺言書の数は、昭和41年には7,767件しかありませんでした。しかし、平成20年は、76,436件にまで急増しています。なんと10倍ちかくにもなっており、今後も急増していくのは間違いないと予想されます(過去10年間では約1.4倍)。また、この件数は、あくまでも公正証書遺言のみの件数です。そのため、自筆証書遺言などを含めれば、実際に遺言を作成している人は、もっと多くなります。自筆証書遺言の作成数は不明ですが、家裁が検認した公正証書以外の遺言の数は年13,632件と、過去10年間では約1.5倍(過去5年間では約1.2倍)となっております。65歳以上の人が遺言を書くと仮定しますと、1,000人に3人の割合で遺言を作成しているという計算になります。
 このように、遺言書の作成が急増している背景としては、遺産相続をめぐる争い(争族)があります。全国の家庭裁判所における遺産分割事件は、昭和30年には2,661件でしたが、平成元年に7,047件となり、平成11年には8,950件、平成19年には9,800件まで急増しています。また、家庭裁判所に持ち込まれる相談の件数は、平成19年には154,160件と過去10年間では2倍となっています。「争族」の急増とともに、「遺言書の作成」が急増していることがデータからも表れています。なお、相続争いの7割以上は、遺産が5,000万円以下のケースで起きているため、「我が家は財産がそんなにないから、遺言なんて必要ない」と思われるのは、間違いといえます。
 では、なぜ「争族」が急増しているのでしょうか。まず考えられることは、「権利意識の高まり」です。世代が若ければ若いほど、「家」よりも「自分」に重きを置いています。企業オーナーや資産家である人の世代は、「家」に対して意識があるでしょう。ただし、その息子である現代っ子世代は、「家」よりも「自分」に意識があります。「家」を存続させるために「自分」を殺すという意識は、現代において希薄になってきています。また、相続財産のなかで不動産の占める割合が高いことも原因でしょう。不動産は、財産としての金額が高いのに分割が難しいです。そのため、遺産分割で争いが起きる原因となりやすいです。また、そのほかに考えられることとして、昨今の雇用状況や経済状況が挙げられます。定年まで会社勤めができる保証がなく、先がみえない将来に誰もが不安を感じています。「もらえる分はもらっておきたい」という考え方は、何もおかしなことではないでしょう。右肩上がりの経済成長に引きずられるように給料が上がっていき、定年まで安泰して会社にいられる時代ではなくなったということです。
 
            公正証書遺言件数の推移(日本公証人連合会資料等)
年度 件数 年度 件数
平成7年 46,301 平成8年 49,438
平成9年 52,433 平成10年 54,973
平成11年 57,710 平成12年 61,255
平成13年 63,804 平成14年 64,007
平成15年 64,376 平成16年 66,592
平成17年 69,831 平成18年 72,235
平成19年 74,160 平成20年 76,436
平成21年 77,878 平成22年 81,984
平成23年 78,754 平成24年  
平成25年 96,020