遺言書>>遺言・遺言書を理解するための知識

遺言書の内容と異なる遺産分割

 相続人(受遺者)全員の同意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行うこともできます。
 

全員の同意

 遺言書があれば、遺言書に書かれている通りに遺産分割をします。ただし、相続人全員の同意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行うこともできます(民法907)。例えば、相続人の1人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたと考えます。ただし、相続人以外の第三者が遺言書で財産を譲り受けられている場合、その方が同意するのは難しいでしょう。財産を貰う権利を放棄するわけですから。
 また、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者の同意が必要です。遺言執行者がいる場合には、相続人といえども、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないからです(民法1013)。
 

相続税

 相続税の計算においては、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなります(相法11の2)。つまり、遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合、遺言書の内容は相続税の計算に関係ありません。なお、相続人間で争いがあるため遺言書を無視し、とりあえず遺産は未分割であると相続税の申告を行う場合もあるでしょう。ただし、このような場合は、遺言書が発見された場合と異なり更正の請求の特則に該当する事由ではありません(相法32四)。ですから、遺言書の内容と異なる遺産分割をするのであるならば、相続税の申告前までにしないと、相続税法上、不利益を受ける可能性があるということになります。
 

贈与税

 遺言書の内容と異なる遺産分割をしても、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはなりません。ただし、遺産分割のやり直しをすると、贈与税が課されることがありますので、注意をしてください。