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相続税

被相続人と「生計を一にしていた」親族に該当しないとして、小規模宅地等の特例を適用することはできないとされた事例-平成30年8月22日裁決(東裁(諸)平30第28号)(棄却)

(1)事案の概要
 本件は、審査請求人X(被相続人の長男)らが、相続により取得した宅地(本件宅地)について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(本件特例)を適用して相続税の申告をしたところ、原処分庁が、Xは被相続人と生計を一にしていた親族に該当せず、当該宅地に当該特例の適用はないとして相続税の更正処分等をしたのに対し、Xらがその全部の取消しを求めた事案である。

                
(2)裁決要旨(棄却)
① 本件特例は、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地のうち、一定面積以下のいわゆる小規模宅地等は、相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、相続人等において事業の用又は居住の用を廃してこれを処分することに相当の制約があるのが通常であることに鑑み、相続税の課税上特別の配慮を加えることとしたものであると解される。かかる趣旨から、租税特別措置法69条の4第3項1号ロは、本件特例が適用される「特定事業用宅地等」を、被相続人と「生計を一にしていた」当該被相続人の親族が取得した宅地等に限定しているところ、ここにいう「生計を一にしていた」とは、同一の生活単位に属し、相助けて共同の生活を営み、あるいは日常生活の資を共通にしていたことをいい、また、「生計」とは、暮らしを立てるための手立てであって、通常、日常生活の経済的側面を指すものと解される。
② これによれば、被相続人と同居していた親族は、明らかにそれぞれが独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、通常は、「生計を一にしていた」と認められるものと考えられるが、他方、被相続人と同居していなかった親族が「生計を一にしていた」と認められるためには、当該親族が被相続人と日常生活の資を共通にしていたと認められることを要し、そのように認められるためには、少なくとも、居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用の主要な部分を共通にしていた関係にあったことを要するものと解するのが相当である。
③ 本件の場合、Xと被相続人は、同居しておらず、Xは、被相続人に係る食費、訪問介護費、日用品費及び医療費等について、被相続人名義の預貯金口座から出金した金銭等により支払っており、被相続人の居宅に係るガス、水道及び電気の使用料金も被相続人名義の預金口座から支払われていることからすれば、Xと被相続人の間で、居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用の主要な部分を共通にしていた関係にはなかったといわざるを得ず、他に日常生活に係る費用の主要な部分を共通にしていたことを示す事実も認められない。したがって、Xは、被相続人と「生計を一にしていた」親族ではないと認められる。したがって、本件宅地について本件特例は適用できない。